会社のPCの入れ替えは数年に一度。だから毎回やり方を忘れていて、 「メールの設定が消えた」「会計ソフトが新しいPCで動かない」 「旧PCが倉庫に山積み」という同じ事故が繰り返されます。
段取りを一度型にしてしまえば、次回からは同じ手順でできます。 買う前・移行・処分の3段階で整理します。
買う前: 現状把握が段取りの8割
使っているものを書き出す
新PCが来てから「あれが動かない」と気づくのが最悪のパターンです。 対象のPCごとに、先に一覧を作ります。
- 業務で使っているソフト: 特に会計・販売管理・CAD など インストール型のソフト。ライセンスの形態(買い切りか年額か、 何台までインストール可か、移行時に旧PCでの認証解除が必要か)まで確認します
- データの保存場所: デスクトップやドキュメントに直置きのファイル、 ブラウザに保存されたパスワード、メールのデータと設定
- 周辺機器: プリンタ・複合機・スキャナ・ラベルプリンタ。 古い機器は新しいOSにドライバが対応していないことがあり、 機器の買い替えまで連鎖することがあります
機種選定の考え方
- 事務作業中心なら、極端な高スペックは不要ですが、メモリだけはケチらない (現在なら16GBを目安に。ここが足りないと数年後に「遅い」の原因になります)
- 台数をまとめて同一機種にすると、設定・トラブル対応・将来の使い回しが楽になります
- 業務用途での中古PCは、価格差の割にリスク(バッテリー・保証・ OSサポート残期間)が釣り合わないことが多く、慎重に
入れ替えは分散させる
全台を同時に入れ替えると、トラブルも同時に全社で起きます。 部署単位・数台単位で分け、最初の1〜2台で手順を確立してから 残りに展開するのが安全です。ついでに購入日・型番・使用者を記録する台帳を 作っておくと、次回の入れ替え計画とセキュリティ管理の両方に効きます。
移行: データはクラウド経由が安全
- ファイル: この機会に OneDrive / Google ドライブ / 共有ドライブへ 寄せるのが本命です。クラウドに上げてから新PCで同期すれば、 移行と同時に「PCが壊れてもデータが残る」体制になります。 USBメモリでの手運びは、移し漏れと紛失の温床です
- メール: Microsoft 365 / Gmail などクラウドメールなら、 新PCでログインするだけです。古いメールソフト(POP方式)を 使っている場合だけ、データファイルの移行作業が必要になります—— これを機にクラウドメールへの移行を検討する価値があります
- パスワード: ブラウザ保存のパスワードは同期でついてきますが、 これを機にパスワード管理の見直しまで やると一石二鳥です
- 業務ソフト: 事前に確認したライセンス形態に従って、 旧PCでの認証解除 → 新PCでインストール・認証の順で。 データファイルの場所(ローカルか、サーバーか)も移行前に確認します
移行後、旧PCはすぐ初期化せず2〜4週間は保管してください。 「あのファイルがない」に気づくのは、たいてい移行の2週間後です。
処分: データ消去を甘く見ない
見落とされがちですが、ここが一番のセキュリティ実務です。
- ゴミ箱を空にしても、初期化しても、データは復元できることがあります。 会社の顧客情報・会計データが入っていたPCを、そのまま廃棄・売却・譲渡するのは 情報漏えいの入り口です
- 確実なのは、①専用ソフトでのディスク消去(全領域の上書き) ②ストレージの物理破壊 ③消去証明書を発行する専門業者への依頼、のいずれかです
- 事業で使ったPCは家庭ゴミでは捨てられません。メーカー回収、 小型家電リサイクル、産廃業者など、正規のルートで処分します
- 台帳に「処分日・処分方法」まで記録すれば、 セキュリティチェックシートの 資産管理・媒体処分の項目にそのまま「はい」と答えられます
まとめ
現状把握 → 分散移行 → 保管期間 → 確実な消去。この型に沿えば、 PC入れ替えの大半は自社で進められます。一方で、ライセンスの移行可否の調査、 クラウドへの寄せ方の設計、消去方法の選定は、台数と環境次第で 手間も正解も変わります。入れ替え台数と使っているソフトの一覧を添えて ご相談いただければ、段取りの見立てをお返しします。計画づくりから 移行の支援まで、スポット対応で引き受けます。