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人が採れない小さな会社は、求人の前に「仕事を減らす」。ITで浮かせられる業務の見つけ方

ネットウィズ合同会社 庄司育雄

求人を出しても応募が来ない。時給を上げても大手に負ける。 やっと採れても、事務作業に忙殺されて辞めていく——。 人手不足の相談は、この数年で最も増えた相談のひとつです。

採用をあきらめる話ではありません。その前に、順番の話です。 「1人分の仕事」に見えているものの中身は、本当に人にしか できない仕事でしょうか。実は、いまの事務作業の一部は ITとAIで消せます。消してから残った仕事を見ると、 「必要なのはフルタイム1人ではなくパート半日だった」 ということが珍しくありません。

減らせる仕事の見つけ方: 4つのキーワードで棚卸しする

「効率化しよう」と漠然と考えても何も出てきません。 社内の1週間の業務を、次の4つのキーワードで見てください。 当てはまる業務が、ITで消せる候補です。

1. 「転記」——同じ情報を2回以上入力していないか

紙の注文書をExcelに打ち直す。Excelの集計を会計ソフトに入れ直す。 メールの内容を管理表にコピーする——。 転記は、仕組みの側の欠陥を人間の労働で埋めている状態です。 入力フォーム化や自動連携でまとめて消せます。 具体的な手順は紙・ハンコ・FAX・二重入力のやめ方に まとめました。

2. 「探す」——ファイル・書類・情報を探す時間

「あの見積もりどこだっけ」「最新版はどれ?」「◯◯さんしか知らない」。 探す時間は1回数分でも、全員が毎日やると膨大です。 対策は検索ツールの導入ではなく、置き場所のルールです。

  • ファイルは共有ドライブに一元化し、「個人のPCのデスクトップに 仕事のファイルを置かない」を徹底する
  • フォルダの命名規則を1枚で決める(年度・取引先・案件など、深さは3階層まで)
  • 「◯◯さんしか知らない」情報は、その人が退職する日が 来る前に文書化する

3. 「催促」——リマインドと確認の連絡

提出物の督促、日程調整の往復、「あの件どうなりました?」の確認——。 人間がやる必要のない連絡の代表です。

  • 日程調整は、空き時間を提示できる調整ツールやカレンダー共有で往復を消す
  • 定例の提出物は、チャットやカレンダーの自動リマインドに任せる
  • 「言った・言わない」をなくすため、依頼は口頭ではなくチャットで 流す習慣にする(それ自体が催促の記録になります)

4. 「毎月同じ」——手順が固定された繰り返し作業

毎月の請求書発行、毎週の報告書、毎日の日報集計。 手順を説明できる仕事は、仕組みにできる仕事です。 クラウド会計の定期請求機能、レポートのテンプレート化、 集計の自動化——「毎月同じ」に人の時間を使うのをやめます。

AIで消える仕事も加える

上の4つに加えて、文章の下書き・議事録・要約といった 「書く・まとめる」系の仕事は、生成AIで大幅に短縮できます。 数人の会社で今日から効く5つの用途に まとめたとおり、月数千円で始められる領域です。

効果は「月何時間」で数える

改善の効果は、時間で数えると判断を誤りません。

  • 転記30分/日 × 20日 = 月10時間
  • 議事録30分 × 週2回 = 月4時間
  • 探し物10分/日 × 3人 × 20日 = 月10時間

この調子で月30〜50時間は、多くの会社で現実に浮きます。 パートの労働時間に換算すれば、求人1件分に相当する規模です。 しかも採用と違って、応募を待つ必要も、定着の心配もありません。

減らした後に残る仕事こそ、人を雇う価値がある

誤解のないように——これは採用をやめる話ではありません。 転記と催促で埋まった1日を求人票に書いても、良い人は来ません。 雑務を消した後に残る「接客」「提案」「品質を上げる仕事」で 求人を組み立てられるようになることこそ、この取り組みの本当の成果です。

注意点2つ

  • ツールを増やしすぎない: 効率化のつもりで導入したツールが 乱立して逆に手間が増える、はよくある失敗です。 半年に一度は契約の棚卸し
  • 新しい仕組みを属人化させない: 便利な自動化を1人が抱え込むと、 その人の退職で崩壊します。 設定と手順は必ず記録に残すこと

まとめ

  • 求人の前に、「転記・探す・催促・毎月同じ」の4キーワードで業務を棚卸しする
  • 消せる業務を消すと、月30〜50時間は現実に浮く。必要な採用の形も変わる
  • 効果は時間で数える。減らした後に残る仕事で求人を組み立てる
  • ツールの乱立と属人化にだけ注意する

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